2011年6月19日日曜日

今度は「せけん語訳聖書」



6月17日(金)の朝日新聞夕刊に「ケセン語訳聖書 津波耐えた」
の記事を発見。大船渡市の出版社イー・ピックスの倉庫が津波被
害に遭い、ケセン語訳聖書3千冊が水に浸かったとのこと。「泥
を払い、かわかして販売したところ、『大津波に耐えた聖書』と
して注文が相次いでいる」との記事。

ケセン語訳聖書の訳者は山浦玄嗣医師(カトリック信者)。長年
にわたるケセン語の研究成果を踏まえ、独特の視点で四福音書が
翻訳され、朗読CD付きで出版されています。

6月13日(月)〜16日(木)の旅の途中、太田春夫牧師の突然の
発案で、大船渡教会近くに建つ病院をアポなしで訪問してお会い
することができました(6月15日)。太田牧師は25年のお付き合
いとか(太田先生、とにかく顔が広い)。

津波で床上浸水したという山浦医院の2階に案内され、院長室で
興味深い話を伺いました。出版準備中なのは「世間語訳聖書」だ
そうで、日本の幕末の言葉で著したイエス物語。原稿は完成して
いたものの、今度の津波被害で出版は少し遅れそうとのこと。

イエスと弟子たちがしゃべるのはケセン語。ローマ人は薩摩言葉。
イスカリオテのユダは長州言葉。エルサレムの人々は江戸の言葉。
ヘロデ王は京言葉… 世間語の時代を幕末と設定して、抑圧され、
追い落とされていく民衆(東北人)の側に立つイエスと、彼らを
厳しく追い、迫害する長州・薩摩という構図。これは面白い!と
思わされました。

山浦先生に「あの〜実は私、出身が長州(下関)なのですが…」
と申し上げたところ、「ああ、ユダだけではなく、アリマタヤ出
身のヨセフも、エマオ途上の二人の弟子たちも長州の言葉として
おきましたよ」とのこと。何だかさまざまな非難の矛先はうまく
かわせる構成のようです(笑)。

ぜひとも各方言の響きを聴いてみたいので朗読劇、あるいはそれ
を録音したCDも作成してくださいと依頼しておきました。

※上記の写真は、山浦医院の前にて(左より太田牧師、山浦医師)

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